ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第103章 飼い主のヒトコマ
「…………親方…………寝てるの………?起きて……………?」
震える声で語りかける
目の前の現実が受け入れられずそっと手に抱き上げた
親方の健康には気を付けていた
環境変化はストレスと成る
なるべく無理矢理に触れ回ったりしない様に
これからも出来る限り長く共に居られる様に……………
自身の体温よりもずっと冷たい身体
抱き上げてみても目を覚ます気配は無かった
_________"
私は手のひらに親方を乗せたまま放心していた
何も考えられずに只座り込み張り裂けそうに襲う痛みに堪えていた
どれだけそうしていたのか
「ただいま。」
私を覗き込んだ彼の顔をぼんやり見上げて彼の帰宅を知る
私が普段彼の帰宅に気付かない事は起きている限り無い事だが今は何も考えられなかった
「…………イルミ"さん………」
彼の顔を見た途端に漏れ出した涙
堰を切った様に悲しみが押し寄せて嗚咽交じりの声を落とす
「…………親方………が………死ん"だぁ」
親方は体調不良だったのだろうか
だとしたら何故私は気付けなかったのだろう
親方の変化に誰よりも気付けるのは私だったのに………
言葉にした途端に重たく染みる現実に沢山の思い出が記憶を巡る
「……ぅぁあっ……うっ…親方………」
彼はそんな私の隣にしゃがむとじっと親方を見詰めた