ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第102章 眩い朝日
「ねぇ沙夜子」
世界に全てを残して単身やって来た彼女
家族やついでに友達何かにも会わせてやる事は出来ない
「此れはあくまでも俺の見解だけど、沙夜子の世界はこの空の向こうなんじゃないかと思ってる。」
「………空の向こう……?」
「この気球はこの世界で一番空に近付ける、つまり今この場所が何処よりも沙夜子の世界に近い場所だ。」
「そっか…………」
何の根拠も無い嘘を彼女は素直に受け止めて明るんだ空を真っ直ぐに見詰める
まだ夜の闇を残す空が薄く光を漏らし始め
やがて空と地平線の彼方に眩しい太陽が眩い光を覗かせた
地平線や空をも全てを照らす朝日は力強く輝きを増して線を引き、自身は眩しさに目を細める
「わぁ………綺麗…………地球って丸いっ!!!」
隣からは彼女の歓声が先程迄怯えていた事等嘘の様に明るく弾んで
「ハッピーニューイヤー!!!!私は元気でーす!!!!!」
唐突に響いた彼女の叫び声にぎょっとした
彼女の行動は本当に予測不可能だ……なんてじっと彼女の横顔に視線を向ければ
自身を見上げた彼女は鼻のてっぺんを赤く染め、キラキラと朝日に輝く瞳を目一杯細めて目にも眩い満面の笑みを浮かべていた
「皆に近況報告ですよ!だってここが一番近いんでしょ?」
太陽の光を一身に受けて笑う彼女を前に言葉が出なかった
………………てっきり泣くとばかり思っていたのに
「……泣かないんだね。」
「泣きませんよ!だって私幸せやから!!」
「皆ーーー!!!私頑張ってるよーーー!!!!」
空高く響き渡る彼女の声を聞きながら見た初日の出というやつは今までの人生の中で只唯一綺麗な朝日に見えた
「皆ーーーーーっ!!!」
「まだ叫ぶんだ……。」