ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第102章 眩い朝日
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彼女の嗚咽を聞きながら完璧にやり過ぎたとは言えなかった
少し意識を覚醒させる筈が彼女は大量に汗を流して飛び起きた
別に彼女の寝起きが特別悪かった訳でも其の状況に苛立っていた訳でも無い
…………彼女は元来寝起きが悪い事を自身はよく熟知している
只スムーズに目覚めを促す方法としてひらめいた方法は全くの失敗だ
何の能力も持たない彼女に自身の念は強過ぎる
そんな当たり前の事は把握していても微量ならばと甘く見ていた
幸運な事に内臓機能は問題無かったが一歩間違えれば殺めかね無かった
(………脆いな………)
………彼女を殺す時は彼女が自身を裏切った時であり其れ以外で毛頭殺す気は無い
ちょっとした不注意は致命傷と成り彼女の命は簡単に消えてしまう
不注意で等殺してなるものか………
彼女は其の人生の全てを俺の手の中で過ごすのだから
トイレから戻った彼女は何故か謝罪を始めた
「いつもすみません!私当然みたいにイルミさんに起こして貰って………お手を煩わせていました………」
「…………いや。」
一度吐いてしまえば全てが嘘だった様に体調はすっかり良く成ったと笑う彼女にコーヒーを入れるついでに入れた紅茶を差し出す
角砂糖三つ入りの甘くて飲めた物では無い紅茶を彼女は好むのだが
「あ、先に水もらいます、ありがとうございます!」
彼女は素早く水を飲むと紅茶に手を伸ばした
………………そうか、こういった場合は水が先か…………。
如何せん体調不良で嘔吐する経験が無く、そんな事も解らない乏しさに気付かされる
彼女は自身に何の変哲も無い至極当たり前と成った日常習慣を謝罪し、察するに無理矢理に紅茶へ口を付けたのではないだろうか………
只彼女を見詰める
人の感情や思考に疎い点を補う為
些細な仕草から表情迄全てを見逃さぬ様に意識の全てを彼女に向ければ
「めっちゃ美味しい!流石イルミさん!」
「別に。」
一切の曇り無く穏やかな笑みを浮かべて癖毛を揺らす彼女の姿に全ての懸念が簡単に掻き消えた