ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第102章 眩い朝日
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「明日の朝は早いよ、気球に乗って日の出を見るから。」
「気球!!!!初日の出!!!」
彼が予約してくれていたのはバンガローだけでは無く気球だった
年末の雰囲気も私の住む日本とは異なり素っ気ない異世界
この世界では特に年末年始の特別感も無くカウントダウンをする程度の只の平日なのだとテレビの情報番組で知った
「そう、それ、沙夜子の世界では日の出とか夢とか色々あったよね。」
「っ~……」
彼が私の世界で過ごした事を覚えてくれているのだと知る度に私の胸はあたたかくなる
彼の世界には無い文化、其れを重んじる文化を持つ私を気遣ってくれているのだと気付いた私はすんなりと言葉が出なかった
「あとスキヤキを食べた後にインスタントの麺を食べるんだ。」
「すき焼き……まぁ………インスタント………」
すき焼きは私個人の趣向、更には私が用意したのがインスタントの蕎麦だった事で厳粛な年越しのイメージは破綻しているが
彼が年越しの文化として覚えているのが私流の庶民的なものな事に笑ってしまう
「ほんまはちゃんとしたお蕎麦を食べるんですけどね!」
「え、そうなの。インスタントラーメン買っちゃったんだけど。」
「え!?………ありがとうございます!!」
私は自然と笑顔に成っていた
世界が変わり、何を食べたって彼と年を越す事に変わりは無いのだ
私の笑い声は狭いバンガローに響いた