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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第20章 異世界の山




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永遠に続く登り坂


短く切れる息


Tシャツは汗でびっしょりだ


背負ったリュックがやけに重たい


しかししっかりと背負い直して足を進める


バーに行けば彼に繋がる手掛かりがあるはずだ


其れに良い方に考えてみれば山道と言っても舗装されているし車だって隣を通りすぎて行く

完全に私一人が獣道の様な所を進むのは恐ろしいが人の気配がするのは有難い


隣を楽々登って行く車を盗み見て



「………良いなぁ」



なんて呟きが漏れても私は歩みを止めなかった


進むにつれて辺りはすっかり暗くなり鬱蒼とした森の気配に目を背ける

木々の隙間から覗く暗闇に吸い込まれそうで恐怖心が膨らんで行く……


ポツリポツリと設置された電灯だけが道を照らしていて私は其れを頼りに歩く


もっと間隔を近付けて設置して欲しいものだが次の電灯迄、次の電灯迄……と呟きながら歩いた


正直危ない奴に見えるかもしれないが黙っていると虫なのか鳥なのか解らない鳴き声が耳に煩くて

随分前から疎らに成った車の往来に真っ暗な森はザワザワと騒ぐ




「………歩けば進む………道がある………イ……イエーイ…………!」




なんて一人で空騒ぎするくらい目を瞑って欲しい……なんて誰に宛てる訳でも無く言い訳をする


何処まで歩けば………なんて弱音をぐっと押し込めてきっと良い方向に前進しているのだと言い聞かせた





そんな時、不意に自身の靴紐を踏んでしまい重力に吸い込まれる様に傾く身体


(……………親方が危ない…………)



脚力を振り絞って踏ん張り耐える





「………っ………はぁっはぁ………」



私は遂に座り込んでしまった


大分暗闇に慣れた目で腕時計を確認すれば時刻は深夜2時を過ぎた頃で

私は此方にやって来て随分と歩いていたらしい事をその時初めて知った





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