ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第102章 眩い朝日
12月31日
私達は山間にある小さな村へ来ていた
と言っても拠点が変わった訳では無く彼が唐突に「出掛けよう」と言うのでデートのお誘いだと浮かれていたのだが
後部座席に乗った親方のケージを発見した時には何かが違うな……?と流石の私でも勘付いた
随分と走った車、到着したのは小さなバンガローで私はポカンとしたまま車から降りる彼の背中を見送り思った
(…………せめて泊まりの時は教えてて欲しいなぁ…………)
彼と過ごす内に私は多少の事では驚かなく成ったのかもしれない……
普通「出掛けよう」と言われて旅行に連れ出されたなら大抵の人が度肝を抜かれるのだろう
私だって驚いた………だけどすっかり状況を理解した今、驚く事に疲れて脱力している
大好きな彼との旅行
例え一泊の小旅行でも私は心底嬉しい
ウキウキと気持ちを弾ませながら荷物を準備したりしたかったな……
なんて思ってみても到着してしまったのだからもう遅い
今からでも彼との時間を楽しむ事に集中しようと気分を切り替えれば途端に鼻歌が漏れ出した
私は幸せだ
彼と過ごす事は難しいだろうとひとりで年を越す覚悟を決めていた矢先彼はホテルから私を連れ出してくれた
それが突然の小旅行だとしても彼と過ごせるのなら本当に幸せで
今の私を包むのはあたたかい幸福だった