ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第101章 シスターの木
背筋をゾクリと悪寒が走った
童話は再会に嬉し涙を流した幸せなシスターと子供達で終了した
しかしその話が全て実話でシスターの木が本物だったとしたら
未だ発光する謎が無念な子供達の涙だったとしたら
切ない物語は一変して恐ろしい結末を辿る………
私は童話の最後、シスターが子供達へ掛けた台詞を思い出していた
"これからはぜったいにはなしたりしない、ずっといっしょだからね"
「ほら、シスターの木だって。」
単調な彼の知らせに目的の木は目前なのだと知る
角を曲がればツリーの広間……
私は息を深く吸い込んで顔を上げ
「………うわぁ………」
間抜けな声を漏らした
シスターの木は想像よりずっと大きかった
15mはありそうな天井に届きそうな程の背丈、太さも2mはありそうな立派なものだ
そして照明が落とされた室内を薄く照らす光は沢山の枝から淡い光を浮かばせていて
儚く美しい筈なのに独特の雰囲気を持った木を前に私は笑う事が出来なかった
彼の話を聞いてしまったからに違い無いけれど
何故発光しているのか謎を考えれば心臓が嫌に早く成った
「…………イルミさん……私には只光るおっきい木にしか見えません」
「…………。」
二人並んで眺めた後にシスターの木に背中を向けた彼の後を追う
「イルミさーん、何か見えました………?」
「見る人が見たら解るんだろうね。」
彼の漏らした些細な台詞は私の耳に届かなかった
「イルミさん何か見えました………?」
「別に何も。」