ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第100章 私の誕生日
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呆気に取られたまま連れられた売店にて私は特に欲しくも無いシロクマのぬいぐるみを買って貰い
忌々しき思い出と理解不能な驚愕を胸に抱いたまま私達は動物園を後にした
無言のまま車内で揺られていると
「あのさ、実はディナーの場所考えてないんだよね。」
彼はポツリと言った
つまり彼の考えていたサプライズデートプランは先程を持って終了したらしい
内心かなりホッとしたのは
あんな事を仕出かす…………いや、あんな発想のサプライズを平然とやってしまう彼が一体どんなディナーを予約しているのかと思うと怖かったからだ
私がジェットコースターが好きだからジェットコースターで食事しよう。なんて言いかねない………なんて思うのは駄目だな………
本当に楽しかった、私は幸せ者だ
勝手に事故して忌々しい思い出を作ったのは私だし
其れは彼のサプライズとは無関係な事…………
私は未だ消えぬ過去の汚点からそっと視線を逸らし気を持ち直す事にした
「そういえばお腹空きました!」
「いつもホテルで同じ様な物ばかりでしょ。沙夜子が好きな物を選べた方が良いと思って、何が食べたい?」
…………成る程…………
ディナーを予約していない事すらも気遣いだなんて彼の優しさがじんわり胸に広がって私は一瞬にして幸せな気分に成った
彼は沢山私の事を考えてくれている
普段何を考えているのか解らない彼の頭の中に私の存在があり
本当に大切にしてくれているのだと感じた
チラリと交わった視線
私は答えを考えながら天井を仰ぎ見て
「あ!私………!」
声を弾ませた