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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第100章 私の誕生日




__________"





トイレにて確認した自身の姿は膝を擦りむいて血が流れタイツは電線し、頬にも血が滲んだ擦り傷が出来ている痛々しい姿だった


そして彼の指摘通り糞が潰れて付いていた


デートだと意気込んだ分、みすぼらしく悲しい姿に成ってしまった事に号泣した後に肩を落としながらも外へ出れば

コートの裾が少し濡れた彼が静かに待っていた


(………洗ったんやな………)


無理は無い、彼は羊に裾を噛られておこだったのだから……………


(…………命があっただけ良かったね……羊………)


なんて考えていた私はぼんやりしている内に馬に跨がっていた


乗馬体験出来るスペースにて


「ほら、乗りな。」


なんて私一人を差し出した彼は柵の外でじっと私を見ていた


………………多分…………本当に多分だが


先程の一件でテンションが目に見えて低い私

いや、先程の出来事の後にもあのハイテンションを保っている奴は異常だと思うが、それは置いておき

今の状況は私を気遣って楽しませようという優しい考えの元なのだろうけど


何故私一人だけなのだろう


競走馬さながらの見事なお馬さんに乗れるなんて貴重な体験だし正直嬉しい

だけど貸し切り故にあの場面を多くの係員さんが目撃し、突然訪れた動物達の騒ぎに慌てふためいた後なのだ

手綱を引いて先導してくれる係員さんは先程から気まずさを表情に滲ませながらも懸命に笑顔を作っているのが見え見えで


此方まで非常に気まずい


そしてじっと視線を逸らさずに刺さる彼の監視の眼差し

彼は多分私が楽しむ瞬間を待っている

だが、良く考えて欲しい


あんな事があったのに先程さながらに私がはしゃぎ倒し始めたとして係員さんから見た私はどんな人物だろう


私なら……この人頭がちょっとアレな変な人だと思う


只でさえ気まずさに押し潰されそうな係員さんを更なる困惑へと誘ってしまう事は間違いない



「馬はとても臆病な性格なんですよ」


「へぇ」


「馬は好きですか?」


「はい、可愛いですよね」


「…………」


「…………」




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