第99章 ツンデレ彼のサプライズ

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「キツネグマ！！！」


「うん。」



彼が連れてきてくれたのは動物園だった

彼は特別動物好きという訳じゃないが私が動物を好きだという趣味嗜好が考慮されたデート先に感激した


本当にどれだけ私をメロメロにすれば気が済むのだろう……なんて思うが


しかしまぁ………流石に彼のする事はぶっ飛んでいて




「貸し切った。」



いつかのプールを彷彿させるひとっこひとり居ない光景には呆気に取られて立ち尽くす他無かった


10名程のスタッフに深々と頭を下げられながらの入園は異様な雰囲気で

気まずさから変な汗をかいた私だったが彼は平然と慣れた様子でいるので其の一般常識から激しく逸脱した感覚に足が震えたりした


やはり私は庶民感覚で彼は驚異のセレブである


しかしながらドン引きばかりもしていられない…………

どれだけおかしな状況であっても彼が私の為にしてくれた事なのだし折角デートに来ているのだから、と……かなり無理矢理ではあったけど気分を持ち直した私は偉い





そして今私達はキツネグマを見ている


動物園とは言っても私の知る世界の場所とは随分と雰囲気が違っていた


ゾーン毎に巨大なドーム形の建物が建っていて自動ドアをくぐり抜ければ室内は動物の生息する自然環境を模した作りに成っていた


遥か遠く天井に届きそうな程伸びた大木が舗装された道を残して立ち並ぶ様は圧巻で


時折立っている看板が指し示す方向へ進めばその動物のコーナーへ行けるのだが気分はまるで探検家である

大人でもワクワクと胸弾む雰囲気は子供だったなら堪らないだろうなぁなんて思っいると木々を抜けた先にキツネグマを発見したのだ


想像していた様な檻や柵は無く堀を作って川を流し草木で囲われた向こう側のスペースに動物がいて
まるで自然の中に野生動物を発見したかの様な演出は素晴らしい




「本物やぁ……！！！！」



柵に遮られる事無くクリアな視界でじっと観察する