第99章 ツンデレ彼のサプライズ

「イルミさん覚えてくれてたんですねー！！！！」


閉じた扉に向かって歓喜しながらもベッドから勢い良く飛び出す


大人に成ってからは誕生日なんて只歳を重ねてしまうだけの切ないイベントだと思っていたが彼に祝われるとなると話は別だ


彼が私の生まれた日を覚えていてくれた！

彼が私におめでとうと言ってくれた！

そして出掛けるという事はデートだ！！！


忍び寄る老いを吹き飛ばす程の幸せが身体中を駆け巡る

誕生日なんて今更悲しいだけの日だけど一応特別な記念日でもある

そんな特別な日に彼とデート出来るだなんて私は世界一の幸せ者だ……！！！



私は嬉々として熱唱しながら身支度を整えた


普段より気合いの入った髪型は"可愛いヘアアレンジ"で検索して研究したハーフアップ

メイクも俄然気合いが入りいつもよりパッチリとした印象に見えなくも無い目元にクリアのグロスでキスをしたくなる唇を演出
頬には冬らしいベビーピンクのチークを乗せた

今日のテーマは守ってあげたい系彼女だ

別に普段からテーマがある訳では無いけど其れだけご機嫌なのである


洋服には取って置きの日に……と何着か袖を通さず置いていた中からカーキチェックのワンピースを選んだ

幼過ぎない落ち着いた色味とシンプルなデザイン
しかしながら裾や襟元のちょっとしたデザインが然り気無く女性らしい一着

タイツは細見えと薄く透ける肌にセクシーさを意識した40デニールをチョイス！！


気合いは十分である


首筋に輝く彼から贈られたダイヤモンドを指先でなぞりながも全身鏡に映った自身の姿は心底嬉しそうな笑顔を浮かべていた