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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第98章 サービスの正体






今は食事時間で間違い無い



だけど今までに配膳と後片付け以外にホテルマンやメイドさんが部屋を訪れる事なんて追加の注文をしない限り無い事だった


更には先程配膳にやって来たメイドさんに本日のメイン料理は白身魚の焦がしバターだと目の前に配膳された



………メイン料理が2つも届くなんて………




「……あの、部屋間違ってますよ……?」



………絶対に部屋を間違っている。




一瞬ステーキという言葉に惹かれた私だが他人の料理迄貪る程食い意地が張っている訳では無い

届け間違いが発覚すればこの男性はきっと上司に叱られてしまうだろう



「私、追加注文もしてないですから!」



他の部屋に間違って配膳してしまったのは少し恥ずかしいだろうな……なんて同情しながらも笑顔で間違いを指摘した私に



「いえ、本来本日のメインは此方の国産パドキア牛のステーキだったのです」



ワゴンをカラカラと部屋の中央まで押し入ったホテルマンは目深に被った帽子で影を落として見えている口元はニッコリと笑っていた




「ですのでお詫びにパフォーマンスサービスを」



「パフォーマンスサービス……?」




傍迄やって来たホテルマンは優雅な所作で深々と頭を下げると分厚い肉を焼き始めた


どうやら只のワゴンでは無く稼働式の鉄板だったらしくジュッと食欲のそそる音が無音だった部屋に響き煙りが上がる




「焼き加減は如何なさいますか?」


「えっと、美味しい感じで!」




咄嗟の事にミディアムやウェルダンなんて言葉が出ずに馬鹿みたいに答えてしまい、クスリと聞こえる小さな笑い声に恥ずかしく成った


しかし何故だか嫌な印象は一切受けずに只ホテルマンの手元へ視線を落とす


鮮やかな手さばきで焼き上げられて行くステーキ




「……それでは」




なんて呟きの後に豪快なフランベが始まった



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