ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第98章 サービスの正体
このはしゃぎ様を彼が目撃したなら冷ややかな視線を送られるか、鼻で笑われてしまうかもしれないが今楽しいから其れで良い………と思うが…………
少々はしゃぎ過ぎて疲れてしまった
本当に私の体力は平均以下である。
辺りを見渡せば休憩出来るリクライニングチェアのスペースを発見し、いそいそとそちらに向かった
腰をおろしてぼんやり天井を見上げている私は先程迄と同一人物とは思えない静かさだろう
「お嬢さん、」
「………………?」
ぼんやり彼が早く帰って来ないかな………なんて寂しく思っていたその時、直ぐ傍から声が聞こえて視線を上げる
お嬢さんとは一体……なんて辺りを見渡すも、リクライニングチェアを使用しているのは私の他、少し離れた場所に家族が一組見えるだけだった
「貴女ですよ」
なんてクスリと笑う男性はホテルマンの黒い制服を身に纏った人物で
「………は、はい………」
突然の出来事に身を固くする
自惚れている訳では無いが格好から察するにナンパ的な事では無いだろうし
ホテルの方に声を掛けられる何か善からぬ事を仕出かしてしまったのかと緊張が走る中
「コチラはプールにお越し頂いたサービスです」
男性は手に持っていたトレイの上から大きく丸いトロピカルジュースを差し出した
「………え?!」
てっきり何かしらの注意を受けるものだと身構えていた私は間抜けな声を漏らしてしまったが
じっと私が受け取るのを待つ男性におずおずと手を伸ばす
丁寧に腰を折り屈んだ男性は随分と長身だ