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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第97章 楽しいソリ遊び



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暖房で窓の曇る車内で私はココアを飲んでいた

私達…………というか彼は完璧なテクニックで雪山を滑り降り、空が夕焼けに染まる頃駐車場に到着した

彼いわく人の声やエンジン音を辿ったらしいのだが板が弾く雪の音で常人の私には何も聞こえなくて

本当に彼に感謝しか無い


私達は確実に一度は遭難したものの彼のおかげで無事に帰って来られたのだ




身の安全が確保された今

私の身体をしっかりと抱いたままスノーボードをやって退ける彼の屈強さやバランス感覚に惚れ惚れとしてしまう



ココアを一口飲み込んで漏れでた幸福の溜息



彼は遭難という非常事態にも落ち着きを失わず冷静さを保っていた

彼が表情を崩す程焦ったり、余裕を無くしたりする事態とは一体どんな事態なのだろう………



「イルミさん」



テールランプに照らされて浮かぶ横顔はあんなアクロバットを長時間続けたにも関わらず普段と何ら変わり無い


私の言葉に眉の端だけを反応させてチラリと一瞬交わる視線


「イルミさんってどんな事が起きたらパニックになります……?」


「パニックは暗殺者にとって命取りだ、滅多な事では無いよ。」




彼のあの冷静かつ余裕な態度は暗殺という職業故に培われたものなのだと言われれば納得する他無い

臨機応変な対応が求められ、更には自分の命が関わっているのだから確固たるものだろう

しかし其の精神を造るのは容易な事では無いと思った

焦りや驚きは対策のしようも無く唐突に訪れるから焦りや驚きなのだし………




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