ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第97章 楽しいソリ遊び
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「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
叫び声を追う
彼女の身体能力ではスノーボードの習得はハッキリ言って不可能だろう
しかし実に楽し気に無謀な挑戦を繰り返し全く馬鹿らしいとは思うが彼女が望むならば、と付き合ってどれくらいの時間が経ったのか
気温が低いとエネルギーの消費が早く成る
自身は彼女に休憩の提案をした筈だったのだが
「これソリにして遊べませんかね!」
彼女は板に三角座りをするとそのまま斜面をコースアウトして急降下したのだ
覆い茂る木々に衝突してはいないものの方向転換も出来ない様子に取り敢えず並走する事にした
正直、驚いているのか楽しんでいるのか計りかねていた
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まさか本当に板が滑り出すなんて思っても見なかった
猛スピードで滑走する板に必死で身を固くしながらも泣きそうに成る
ブレーキも方向転換も出来ない
奇跡的に木々や岩に衝突していないもののぶつかれば相当な衝撃が身体を襲う事は駆け抜ける景色の速さに想像するまでも無かった
「イ……イルミさ………」
無意識的に口から漏れた声に
「なに。」
直ぐ傍から言葉が返ってきて只でさえ速い鼓動が跳ね上がった
彼は板も装着しておらず即座に私を追う事等不可能だと思っていたのだが
反射的に声を辿り視界に飛び込んだのは雪面を滑走する板と全く同じスピードで並走している彼の姿だった
(………そっか………普通の人間じゃないんやった………)
日常の中、平凡に過ごしていると彼の驚異の基礎能力を忘れそうに成る
結果、目の当たりにする度にホラーにも通ずるゾッとした恐怖心を抱く
板を小脇に抱えて雪の抵抗を微塵も感じさせない見事な走りを見せる彼はどんな野生動物よりも機敏だ
自分で呼んでおいて失礼極まり無いが悲鳴を上げる
そもそも並走出来るなら私を助けるのが先決だと思うのだが混乱した頭から言葉が出ない
パニックに更なるパニック要素が重なり涙が滲む中
「何処行くの?」
突然背後から声が聞こえて思い切り肩が跳ねた