ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第96章 甘くないゲレンデ
正直10分を1時間に感じる程に心細さを感じていたのだが
リフトに見付けた彼の姿に私はまた笑った
別に愉快だからでは無い
本当に無表情でリフトに揺られる彼はまるでお人形で
私を置いてき放りにあれだけ颯爽と技を繰り出していたにも関わらず彼は全くの楽し気も無かったのだ
私達は一体何をしているのだろう?と素直に思う
せっかく滑ったのだからもう少し楽しそうに出来ないものかとも思うが目が合った私達は互いに無表情だろう
何を考えてか手を振った彼に手を振り返す
(そのままリフト乗って下に戻るの?)
なんて事を考えたりしたが
私の傍に戻った彼の第一声は
「楽しい?」
だった
何処をどう見れば楽しそうに見えるのか驚きの余り腹立たしいとは微塵も思わなかった
滑れない恋人を放置して自分だけ滑った後に楽しい?なんて普通の神経の人は聞けないだろう
彼はやはり普通から程遠い常軌を異した人物なのだ
「………私………スノーボード出来ないみたいです」
私を悠々と見下ろす彼に漏らした言葉を彼は無表情のまま聞き届けると
「だから動かないのか……沙夜子の事だから変な遊びでもしてるのかと思った。」
納得した様に呟くので私は更に驚いてしまった