• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第96章 甘くないゲレンデ




__________"





「……………嘘やん………」



山頂に響いたのは私の小さな呟きだ



板はレンタルすると言った彼

彼がスノーボードを選ぶものだから浮かれた気持ちで私もスノーボードを選んだ

せっかくのデートだしお揃いの方が気分が上がる


彼のスノーボードする姿は想像の中でも格好いいのに実際この目で見た日には鼻血ものだと思う

妄想せずとももうすぐ彼の凛々しい姿を見られるのだから既に高いテンションが更に上がってしまうのは仕方がない



傾斜を登るリフトに揺られて最高に楽しい気持ちだった私は全てを甘く見ていた……………




スキーの経験はある

あると言っても小学生の頃に学校の行事で参加した一度きりだが滑れていたしスノーボードも同じ要領だと踏んでいた


しかしスキーとスノーボードでは全くの別物なのだと瞬時に悟った

ウキウキ気分でボードを取り付けたは良いものの立ち上がる事が出来ないのだ



………しまった………と思った




滑れなければ意味が無い

板を付けたまま同じ場所でずっと座っているなんて何が楽しいのか解らない

その場のノリで決めずに最初からスキー板にしていればこんな事には成らなかったのに………とは思うものの

滑れない彼女が彼に滑り方を教わるなんてカップルらしい……!!!!


実にカップルらしいデートだ

自然と身体に触れられドキドキ胸キュンの展開は間違い無く

王道かつ楽しい兆しに思える


私は内心ニヤニヤとしながら口を開いたのだが



『イルミさんっ♪滑れな~い』と紡ぐ筈だった言葉は喉に詰まって出て来なかった




抜群のバランス感覚で難なく立ち上がった彼は


「じゃ、滑ろう。」


私に見向きもせずに颯爽と雪の斜面を滑り降りて行ったのだ



/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp