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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第96章 甘くないゲレンデ




__________"




そして話しは冒頭に戻る


私は彼の運転する車の窓から街並みを眺めてワクワクしているのだが


トントンと響く些細な音は彼の長い指がハンドルを叩いて発っせられていて


私とは対照的に苛立った様子の彼をチラリと盗み見た


露骨に眉が潜められ眉間に寄ったシワ、固く閉じた唇は不機嫌に歪んでいて



「……………混んでますねー……」


先程からのろのろ動く車を徒歩で追い越す人の姿に苦笑いを向ける


私は彼とドライブしている事実だけで渋滞した道だって楽園なのだが


彼は私の方へチラリと視線を流し一層気だるそうに溜息を付いて顔を伏せ、長い髪をかき上げて覗く伏し目がちな瞳にドキリと胸が跳ねた


革張りの艶やかなシート、左ハンドルの車内から高級車である事は薄々気付いていたが彼が其所に座っているだけで格段に上質に成る

恐ろしい程に美しい彼が自ら運転しているのだと思えば今この時を本当に贅沢に思う

シートに緩く落とされている右手には薄く血管が浮いていて気だるげな雰囲気も相まって端々に色が漂っているのだ

彼は確実に不機嫌であるのに些細な仕草すらも優雅に感じるのは育ちの良さからか彼の魅力故なのか

はたまた其の両方か




「全員に針刺して道を開けさせれば早いんだけど。」



心底鬱陶しそうに物騒な言葉を呟く彼をすかさず制止しながらも


「駄目ですよ………?」


「……………。」




不思議な気分に成る



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