ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第96章 甘くないゲレンデ
12月14日
車窓の外を流れる街並みは都会的とはいえ人の混み合う大都会という訳では無い
そんな街中の中心部に位置する高層ホテルの最上階にて私は来る日も来る日も彼に与えられた漫画や小説で時間を消費していた
彼は相変わらず多忙で仕事に明け暮れていたのだが今朝は違っていて
「今日は二人で外出するから起きて。」
朝の6時半、唐突に私を揺り起こした彼は寝ぼけ眼の私に単調に言葉を紡いだ
突然ではあったけれど彼と外出出来るのだと知った途端、急速に目覚めた私は本当に欲望に素直だと思う
「………外出………デート……!?」
「うん、デート。」
久しぶりに彼に時間の余裕があるという知らせ、更には"デート"という単語をすんなり口にした彼を見上げながら途端に緩む頬
「ほら、早く用意。」
なんて顔色ひとつ変えない彼だが
久しぶりに恋人らしくデート出来るのだと思えば嬉しさが込み上げて変な笑い声が漏れた
「ふへへへへ……直ぐに用意します!」
「…………その笑い方やめなよ。」