第94章 特別

今私達は発酵した生地を切っている

生地を練るのは中々の体力を使い取ってきた卵や牛乳を使いお兄さんが作った手作りバターを混ぜた

自分達で取ってきた物を使えるのは何だか嬉しくてチラリと彼の様子を伺えば

軽々生地を練っていた彼も少し嬉しそうに見えた


切り分けた生地を薄く伸ばしてバターを巻いて行く工程では彼は抜群の器用さを発揮してお義母さんに誉められ


「案外簡単だね。」


なんて昨日の断固拒否が何だったのか予想以上に楽しんでいる様子に笑ってしまった


パン作りというのが彼のイメージする料理と違っていたのかもしれない



発酵や焼き上がりを待つ間には休憩を挟みながらもサラダの準備やオムレツの準備を進め



「お兄ちゃん！ボウル取って！」


「これ？」


お義母さんとも幾分か打ち解けた様子にほっこりとする


そして火を使う際には率先して後ろにさがり決して火気に近付かない彼は花丸をあげたいくらいに賢かった


賢明な判断である



そして遂に



「完成ー！！！私のこれや！」


「俺のはこれ。」


「やっぱり上手ですね！」


「別に普通。」



なんて言いながらも見上げた先

彼は少し嬉しそうに瞳を細めた