ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第94章 特別
その後気まずい空気が私達三人を包む中、本命の卵を取る為に養鶏場にやって来た
「一人15個ずつ卵を取ってね」
なんて笑顔で籠を手渡してくれるお姉さんは大人だと思う………
餌を食べる為にケージから顔を出した沢山の鶏達は食事に夢中だ
ケージの下には生まれたての卵が並んでいて普段目にしない光景やその新鮮さにワクワクと胸が弾む
そして其れと同時に
「イルミさん!前も卵取りましたよね!」
「そうだね。」
「へへへっ」
私達は以前私の世界の牧場にて卵取り体験をしていたのだ
うみたて卵をお持ち帰り出来るお得さにご機嫌だった私
そして彼は無表情ではあったけれど柔らかな表情を浮かべていた
異世界での思い出と今が重なり懐かしさと嬉しさで変な笑い声を上げた私
彼は本当にしっかりとあの日々を覚えてくれているのだと
「沙夜子早く取りなよ、俺終わったよ。」
「はやっ!!」
感慨に浸る間は無かった
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07:38
私達はキッチンにてお義母さんとのパン作り体験に参加していた
昨夜は華麗に去った彼だが仕事という言い訳を使えない今
彼は気だるげながらも渋々とエプロンを身に付けて髪を緩く纏めている
男性用に用意された青に熊さん柄のエプロンは彼にはサイズが小さかったらしくやたらに胸元がピッチリしている上に丈も若干短いが
不満は口にせず溜息を付いただけで実に堅実に頑張っていると思うし
個人的にはそんな彼が
(………可愛い過ぎて尊い。)
私には選べないセンス、彼も決して選ばない絵柄に感謝する
両手を合わせて拝みたいレベルだし写真に残したい所だが本気で怒られそうなので泣く泣くやめておいた