ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第94章 特別
日本とは違い随分と洋風でやはり異国情緒漂う佇まいながら今まで宿泊してきたどの施設より私の性分に合うのは間違い無い
そしてまた彼の性分に合わない事も察せた
綺麗に清掃されているが生活感が伺える浴室
彼はきっと入らないと言うだろう
他人との些細な接触さえ不愉快そうな彼は少し潔癖だ
従ってお義母さんの作った料理も例えあの場にいても彼は口にしなかったのでは………と考えて苦笑いが漏れた
私にとはっては心地好くても彼にとっては苦手な事
人それぞれ苦手な事はあるし其れは何ら不思議では無いけれど
漠然とした違和感が生まれては消えて其の状態が一体何に向けられた物なのか解らないままに私は浴室を後にした
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翌日
私は居間にて少しラガーさん夫妻と談笑した後にベッドへ潜って一人眠った
やはり彼がいないのは寂しく心細いが傍に誰かの生活音があるだけで随分と安心し、夢におちるのは早かった
目覚めるとまだ薄暗い辺りをぼんやり眺めて彼の姿を捉える
ベッドのヘッドボードに背中を預けて布団も被らずに座ったまま眠っている様だ
私が少し上体を起こした気配に気付いた彼は緩く顔を上げて寝ぼけ眼を此方に向けた
「お仕事お疲れ様です」
「お疲れ。」