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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第94章 特別






17:13





「ここでは貴方達も家族の一員、一緒にお料理手伝ってね、新鮮なお魚の郷土料理を是非覚えて欲しいの」


「はい!」


「じゃあエプロンどうぞ」


「ありがとうございます!」


「…………………………。」




私達は広いキッチンに立っていた

船から魚を運び入れると待っていたとばかりにお料理体験が強制スタートしたのだ

私としてはあまり得意とは言えない魚料理を魚料理のプロフェッショナルである漁師さんの奥さんに教われるのは嬉しい限りだが

一方の彼は先程迄のご機嫌を何処にやったのか露骨に嫌な顔をして手渡されたエプロンに視線を落としていた


お義父さんとは釣りを通じて少し会話を交わせる様に成った彼だがお義母さんとは未だ会話数0である


お義母さんは背中を向けていて彼の表情に気付いていない事が本当に幸いだが

かなり嫌そうな彼のご機嫌をどう取るべきか私は焦りに焦っていた


優しいお義母さんを傷付けてしまうのは駄目だと良心が言う



「イルミさん!ちょっとあっちでエプロン着けましょう!」



私は出来る限り明るい声で言いながら彼の背中を押して部屋からの脱出に成功したのだが






「そう言えば仕事の時間が早くなったんだった。残念だけど料理に参加する時間が無いや。」


彼は白々しいくらいの棒読みで突然時間に急いでいる旨を伝えた


…………あからさまな嘘………


「…………嘘でしょ」



「嘘じゃない。今回の依頼人がわがままでさ、本当苦労するよ。」


言いながら吐き出される溜息の大きさが益々わざとらしい


大体彼はきっちりとした几帳面な性格だ

仕事に関しては尚更慎重でスケジュール管理は完璧な筈

それを料理体験を前に唐突に思い出した様に仕事に出掛けるだなんてかなりの違和感を与える発言だった


「まいったな。」


更には本当にそれで突き通せると思っているのか甚だ疑わしい大根演技

先程迄気にも止めていなかったのに今はチラチラと時計を気にする仕草を見せている




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