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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第93章 島のお宿と魚釣り




「おぉ、お兄ちゃんまた釣ったか!本当に筋が良いなぁ!漁師に成る気は無いか?」


「ならないよ。」


「あはは、冗談だ!こいつは煮ても焼いても旨いぞー」


「へー。」


「…………………」



彼は以前私の世界で初めて魚釣りをしたと話していた

しかし何故だかあの時も、そして今も釣れるのは彼なのだ


現に私はまだ1匹も釣り上げていないのに彼は既に5匹もの魚を釣っていて時折だが心無し得意気な顔で此方を見る


……………これは宣戦布告と取って良いだろうか………


「お義父さん!私も釣りたいです!!」


「お姉ちゃん、焦りは禁物だよ。釣れないのもまたロマン……釣りは魚との駆け引きを楽しむ事だ!」


「駆け引き………解りました!」


本当は全然解っていなかった

完全に彼への対抗心が燃え上がり




そして



「………イルミさん何匹釣ったんですか?」


「11匹」


「へーすごーい………」



燃え尽きた



結局私は初心者でも釣れるらしいポイントにも関わらず一匹の魚も釣る事が出来なかった


しかしまぁ……彼が釣った魚で美味しい夕飯が頂けるだろう………



進む船は波を引き連れて輝き見上げた彼の横顔に視線を奪われる


サラサラと艶やかに流れる黒い髪、細められた瞳に波が反射して揺れる

本当に作り物の様に恐ろしく整った横顔がゆっくりと瞬きする様子を何処か夢の様に眺める私に

彼は悠々と視線を合わせた


すっきりと高い鼻筋、薄く色付いた唇そして漆黒の瞳が私を捉えて声が紡がれる




「沙夜子って釣りのセンス無いよね。」


どうしてこの人はこんなにも美しいのだろうか、目の前の彼が私に話し掛けていると思えば本当に幸せで

紡がれる其の声すらも官能的に感じて頬が素直に色付いてしまう



「今の場面で赤面されるとは流石に思わなかったよ。何?いつもの変な発作みたいなやつ?」


「酷い事言ってても美形ですね……」


「馬鹿じゃないの。で、魚釣れなかったみたいけど楽しかった?」


「………はい、私はロマンを堪能したしイルミさんとお喋り出来て幸せです」



「頭おかしいね。」



不意に彼に見惚れてしまうのは美貌故に仕方がないとして



魚釣りにご満悦な様子で少し機嫌の良さそうな彼と海を眺めるのは楽しかった





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