ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第92章 強者と弱者
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17時を知らせる鐘の音と共に馬車は国を後にする
彼女は自身が戻るなり俺に謝罪の言葉を述べた
「私色々考えてイルミさんの考え方も解りました……勝手に恵まれた人を強者やと思ってたけど……違うと思いました……すみません。」
「別に。」
振り返る記憶は昨日夕方
俺はスラム街へと出向いていた
原因は彼女が唐突に訳の解らない事で怒り始めた事だった
弱い者を救うだの何だのと言っていたがそもそもが違う
この国は馬車でしか出入国が不可能、故に羽目を外し過ぎてギャンブルに溺れた物や事業の失敗等で財を失った物は国の外に出られずに国の外側部分はスラム街と化した
運の悪かった者や自業自得の者迄様々だが奴等は決して弱者では無い
俺が訪れたのは昔は名を馳せた金融会社を倒産させた女の家だった
外から見れば酷い建物も中へ入れば電気ガス水道、テレビや空調迄揃った一般家庭と何等変わり無い景色
外面に見事に騙された彼女に見せてやりたいくらいだ
「この金で一人騙して欲しい。」
嘗ては地位のあった女、彼女を騙す程度なら巧く振る舞える筈だ
俺の見せた金を前に女は下品に笑った
「これで返り咲ける!!私を嗤った馬鹿共が!!!」
「但し当然報酬は後払い。ターゲットに接近中は必ず監視が付く事を忘れるな。更にターゲットの身に何かあればどうなるかは解るよね?………金があれば大概の事は揉み消せる、お前も知ってるだろ。」
「………っ………私は何をすれば良いの……?」
女への指示は彼女を騙し、現実を教える事
シナリオ等は女に任せ、監視の下身形を整えさせた
彼女の甘い考えは身を危険に晒す……というのが大きな理由だったが何故こんなにも必死に成っていたのかは自分でも解らないが