• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第92章 強者と弱者






接待やビジネスのお付き合いでお酒を飲む様なパーティーは華やかに見えて決してプライベートでは無い

休日をそんな社交界で消費して更に自宅でも業務をこなして稼いだお金………自分の愛する人達と使いたいと思うのは至極当然だ

事件はマダムが裕福だった故に起きた悲劇


私はずっと裕福な人が強者で貧困な人が弱者なのだとレッテルを貼っていた

しかし今尚改善されない誘拐や殺人


貧困が必ずしも弱者では無く裕福な人間を脅かす現実


そして愛する息子を奪われた挙げ句罵倒され裏切られたマダムは何を思って何を感じたのかと想像すると胸が裂けそうに痛くなった


想像よりもずっと深く傷付き絶望したのでは無いだろうか………


この場合人を助ける力を持っていてもマダムが完全なる弱者で被害者なのだ



"あんなのに失礼も何も無い"と言った彼


きっと彼はスラム街の現状を知っていて発言したのだ

理不尽なのが世の中だと


必ずしも全てがそうじゃ無くても少なからず今の話しは彼の言葉を彷彿とさせた

高く隔てる壁だって裕福層が貧困層を疎外する為だけに存在していると思い込んでいたが

誘拐や殺人から身を守る目的が存在し、あの壁には貧困層にも多大成る原因が存在していたのだ


一人、目の前の人を助けるくらい……なんて甘い考えだったのだと知る

その行為はリスクと隣り合わせで安易に手を出すべきでは無いのだ

人に手を差し伸べるには其なりの覚悟が必要で本気で立ち向かえる人物でなければ成らないのだと思う

危険に晒される事を知り彼等を助ける人がどれだけ存在するのかを考えて

今広がる現状にある程度仕方がない理由が存在するのだと思えた






「それじゃあ観光楽しんでね、さようなら」


「ありがとうございました!さようなら!」



私の考えが間違っていたとはやはり思わない

一歩踏み出す人間は貧困層にも裕福層にもやはり必要だ


……………だけど…………彼の考え方を理解した今、謝るべきは私だと思った




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp