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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第92章 強者と弱者







…………確かにそうだ


勉強が出来れば可能性は今よりもずっと広がる

しっかりとした仕事が決まれば其だけ収入が入るという事で………

少し時間が掛かっても町全体の生活がきっと変わって来ると思う



「………だからわたくし、学校を開いたの!」



「わぁ!」



私の目の前に現れたのは大きな平屋だった


マダムの話によれば突然立派な建物を建てると警戒されてしまう為に今ある物を補修、再利用し、後々は真新しい校舎を建てるのだと嬉しそうに話してくれた

二人ひとつで使う教科書は地域が遠く仲間に入れない子を自然に輪の中へ馴染ませる為だったり

時間を過ぎてしまい見学は叶わなかったが給食を支給している等の話を聞いた


笑顔の咲く教室、地位の違い等全く気にする素振りも見せずに戯れるマダム


更には昨日私が考えていた善意の連鎖は生まれていて

近々マダムの慈善事業に賛同した企業がこの町に病院を建てるのだと教えてくれた


人の優しさと優しさが繋がった事

そしてそんな人達がいるのなら世の中捨てたものじゃないと思えた





しかし



帰りの馬車内でマダムが始めた話しで私は何が正しいのか全く解らなく成ってしまった



「そう言えば話して無かったわね、慈善事業を始めたきっかけ」


「はい!教えてください!」


「少し暗い話しになるのだけど……」




馬鹿みたいに弾んだ私の声に小さく前置きをしたマダムの話は衝撃的だった




マダム夫妻には一人息子がいた

大変親想いの優しい息子


だけど13歳のある日息子さんは何の前触れも無く連れ去られてしまったそうだ


犯人はスラム街の住民



何故特定出来たのかというと莫大な身代金を請求されたからだった

夫妻は当然息子の命を優先し言われただけの身代金をかき集めた



しかし




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