ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第92章 強者と弱者
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翌日11:18
「ふーん……で?」
「………そのマダムとの外出許可を下さい…………」
私達はルームサービスにて昼食を取っている
昨日の事もあり気まずいまま彼を出迎えた私だったが彼は普段と変わらず淡白な雰囲気を漂わせ
「お腹空いた。」
と言っただけで昨日の事に触れる事は無かったのだが
私は敢えて自分から昨日の話題を出した
「私の考え方は間違って無かったと思ってます………でも、流石にイルミさんには解らないとか……色々言い過ぎました。すみません。」
考え方の部分は解り合え無い
だけど彼に強く言い過ぎた点に関しては謝罪しておきたかった
考え方の違いと出てしまった言葉とはまた別物で
彼に理解されず拒否感を感じた事への悲しい気持ちは別である
深々頭を下げた私に彼は随分と間の抜けた声で「別に。」と返してくれた
そして振り出しに戻る訳だが
何故私がマダムとの外出許可を取っているかと言うと昨夜盛り上がりに盛り上がった私達
マダムは時間があるなら、とスラム街での慈善活動の一部を見せてくれると話したのだ
正直私は乗り気である
お金持ちには解らないのだと絶望していた私は突然善意の女神と出会い気持ちが救われた様な気がしたのだ
私には真似出来ない慈善事業なんていうスケールで人を助けるマダムともっとお話ししてみたい、という純粋な気持ちもあった
しかしいくら街中を出歩いて良いと本当に珍しく外出許可が出ていても
無断で昨晩知り合った人物と、更には禁止されているスラム街に出て行くなんて出来ない
事の経緯を全て話した事から目的地の見当は付いた筈だ
私とマダムはスラム街へ行く
あれだけ頑なに禁止していた彼が易々と許可をくれるとは思えないが僅な可能性に賭けたのだ
でも……まぁ……………厳しいだろうなぁ…………なんてじっと彼を見詰めていると
「………俺の用意するボディーガードを連れて行くなら良いよ。あと16時までに帰る事。」
「………ありがとうございます!!」
思いがけずあっさりOKを貰い喜びで声が弾んだ
「俺は16時過ぎには戻るから必ず部屋に居る事、其れとその女を決して部屋に上げない事、良いね。」
「はい!!」