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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第92章 強者と弱者







しかし、しかしである…………


何を話せば良いのか、仕草等でボロが出るのでは……なんて事が脳裏を過り冷や汗が背中を流れる



「此方にお住まいなの?」


「いえ、観光で」


「そう……じゃあ驚いたんじゃないかしら………」


マダムの表情が曇った

驚いた……とは何の事だかさっぱり解らずに見詰めていると


「門を潜って直ぐのスラム街を見て」


マダムは私の思考の殆どを占めていた町の事を口にした



…………どう反応するべきか迷った…………



私はその事で彼と喧嘩をしてしまった

彼だからこそ解ってもらいたかった

しかし今会ったばかりのマダムに個人的思想の話をする訳にも行かない


この人も恵まれた生活を送りスラム街の事を良く思っていない可能性だってあるのだ


濁す様に曖昧に頷く事にしてスラム街の話が流れるのを待つ事にしたのだが


「貴女はあの町を見てどう思ったのか教えてくれないかしら?」


真剣な声色で問われてしまい固まってしまった


…………どう思った…………


…………一番は衝撃。そして何とも言えない後味の悪さだった


しかし其れを口にするのはあまりにも軽薄で

適当に取り繕うつもりで唇を開いたと同時


「わたくし実は慈善事業をしているの。あの街をより良くしたくて」


少し眉を下げて笑うマダムの言葉に私は雷に打たれた様に衝撃が走った


「え!そうなんですか!?凄い!!素晴らしいです!!」


「あらあら、ありがとう。こういった事に関心のある方が少なくて……嬉しいわ!!」


私達は気が付けば握手を交わしていて楽しい食事の時間を過ごす事が出来た


素敵な出会いに感謝である




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