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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第92章 強者と弱者





いつの間にか運ばれて来た見た目にも美味しそうな料理を口に運ぶ



そもそも……私は彼に全てを助けられながら生活していて………

単純におこがましく、出過ぎた真似だった様にも思う


………だけど…………善意を嘲笑う彼の言葉や態度は違うと思ってしまったのだ


彼が例え何もしなくとも善意を嘲笑う事無く話を受け止めてくれていたなら私は怒ったり、しつこく詰め寄ったりきっとしなかった…………



そもそも、お互いに間違っていないと思っている事が今回の喧嘩の原因で


私は何度も考えて反省点は見付け出せてもやはり自分を間違っているとは思えなかった



同じ様な思考がグルグルと渦巻いて消えない


食事も取らずに背中を向けた彼の姿を思い浮かべては溜息が漏れた




一口、また一口と料理を運びどれだけが経ったのか



不意に隣のテーブルのマダムと目が合ってニッコリ微笑まれてしまい咄嗟に笑顔を向けると


「……貴女も御一人?わたくしも主人が仕事で一人なの」


少し寂しそうな笑顔を向けられてしまい取り敢えず頷いて見せた


「あはは、お仕事ですか……私もそんな感じです………」


「一人では折角のお料理も味気ないわよね………そうだわ!席ご一緒して宜しいかしら?」


「へ、……え?!」


「心配しなくてもお会計は別だから安心して?二人の方がきっとお料理も美味しいわ!」




……………人の良さそうなマダムの笑顔に否定の言葉は出て来ず

只作り笑いで戸惑いを隠している内にマダムは本来彼が座る筈だった場所に落ち着いた





(………………え……………どうしよう…………)



目の前の女性は美しい宝石類に上質な衣服………言葉遣いから雰囲気まで上品なれっきとしたマダムだ

一方私は宝石類等皆無だが身形こそ其れなりではあるものの中身は下町生まれ下町育ちのハリボテ貴族である

この国に入国、または住んでいる時点でお金持ち確定

しかも此のホテルに宿泊、食事に来ている時点で富んだ人に間違い無いのだから私がマダムと同じく地位ある人間だと勘違いされるのも無理は無いのだ




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