ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第91章 少女の瞳
「庶民代表として言わせていただきます!!!」
「…………。」
「イルミさんはお金の無い人達の気持ちを全然わかってないっ!解ろうともしない………ずっとお金に不自由無く生きてきたイルミさんには一生解らない事なんでしょうね!」
私は思いを感情任せにぶつけた
理解する努力も無く、善行すらも下らないと見下す彼に私は酷く怒っていた
チラリと視線を此方に向けて僅かに眉を潜めた彼が唇を開く
「何をそんなに必死に成ってる訳?あいつらはあいつらで俺は俺だよ、世の中の均等は此れで理不尽なのは当たり前。其れに金持ちも貧乏も無いよ。」
気だるげに髪をかき上げながら言う彼に私は再び声を上げた
「でもイルミさんはお金の苦労なんかした事無いでしょ!!」
「論点がズレてる。………兎に角、俺は今から仕事だから、夕飯はホテルのレストラン以外禁止ね。街中は出歩いても良いけど、くれぐれも独りでスラム街に出ない事。此れを破ったら怒る所じゃないから。」
彼は言いながら淡々と黒いコートを羽織ると
「少し頭冷やせば?」
札束をテーブルに置いて部屋から出て行ってしまった
気が付けば時刻は18時を回り窓の外の太陽はすっかり落ちている
私がこんなに怒ったのは初めてだった
彼も心無し僅かだが苛立っていた様に思う
本来なら二人で夕飯を食べる予定だった
しかし彼はその前に出て行ってしまった
私達は初めて大きな喧嘩をしたのだとこの時気付いた