ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第91章 少女の瞳
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ホテルはやはりゴージャスで最上階フロア丸々一つを使い切った野球グラウンドよりも広いペントハウスに私達はたった二人で宿泊する事と成ったのだが
「あの人達を助ける力を持ってるのに何もしないってやっぱり私は冷たいと思います!」
「………またその話?」
「別に私は全てを助けないと、とは言ってません!其れは難しい事やし、違うと思います。………でも力ある人が何かしないと何も変わらないじゃないですか!」
「俺が仕事して稼いだ金を赤の他人にばらまけって事?」
彼は表情ひとつ変えず本のページを捲った
私は別に彼のお金をばらまいて欲しいなんて思っていない
そんな方法じゃなくても何か助ける方法はある筈だ
「違います!別にお金を配るとかじゃなくて!だって家具壊して支払うお金があるなら家の一軒でも建ててあげれるんじゃないですかと言いたいんです!」
「建ててどうなるの。」
「寒さをしのげます!其だけで病気に成りにくいじゃないですか!力ある人が弱い人に手を差し伸べる方法なんかいっぱいあります!」
「下らない。そんなの頭の緩い奴がする事だよ。」
バッサリ言い捨てる彼に憤りを感じた
別に偽善者の様に皆上手く行くだなんて私は思っていない
たった一軒、されど一軒、其れを見た誰かが何かを感じてまた家を建てれば善意は連鎖するのでは
先の長い話だけど、確実に何かが変わるのだ
富のある人ひとりひとりが少しずつ手を差し伸べればきっといつかは……
だけど人を助ける術を持つ彼に其れは通じなかった
私の話を聞き流し返事もしない彼に私は拳を震わせた