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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第91章 少女の瞳







チラリと見上げた彼の横顔は無機質ながら何処か冷たく




「ちょっとなんて無いんだよ。あんなの相手にしてたらキリが無い。」



彼はうんざりした様に呟くと悠々と美しい街に歩みを進めた


私もつられて歩み出すが


「………でも」


何故か釈然としなかった


彼の言葉は理解出来る

目の前の人だけでは済まされないのかもしれない……


だけど、あの人々に恵んでも余裕の財力を持っていて必死に生きる人々を"あんなの"なんて切り捨てる様な言い方はあんまりだと思った

何かしらあの人達を助けられる力を持ちながら何もせず見下す様な言葉はあまりにも傲慢なのではないだろうか



「でも、いっぱい来てもイルミさんなら困らないでしょ?それに言い方が失礼ですよ、あんなのとか………」



「困る困らないの問題じゃない、面倒事と迷惑はこっちが被るんだよ?それにアイツらに失礼も何も無いよ。………沙夜子さ、子供に食べ物あげたでしょ。金輪際絶対に何も渡すな、良いね。」



女の子の瞳が脳裏を過った

あの女の子に私は面倒事なんて被らされていない

周りを取り囲まれたのは驚いたが皆にも何かを渡せていれば平和的にあの場を離れられたのではないだろうか



彼は生まれながらに財力に恵まれた家に育った生粋のお坊ちゃんだ


感情に任せてホテルの備品を壊し、何千何百万と支出する彼


きっと何も感じず今を当たり前だと思っている


私は貧困では無かったけれど庶民的な慎ましい生活を送り、彼と生活を始めてからは驚く事ばかりなのだ

彼にあの人々の気持ちなんて解りはしない、
私でさえ本当の所は解らないけれど彼よりはずっと身近な筈だ



きっと今、一人の富ある人物の心を動かせるのは私しかいないと思った



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