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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第91章 少女の瞳



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門を潜って約15分


開かれた扉を出て唖然とした


綺麗に模様を描く石畳、出窓やアーチ形の扉、外柱に迄美しい細工が施された立派な建築物

華やかな洋服を纏った紳士淑女が黒服の人や執事と思われる燕尾服の人物を連れて町を歩いていて

先程目にした光景とのあまりもの違いにポカンとしていると

ドンっと足元に何かがぶつかって慌てて体勢を正した




「申し訳ございません!申し訳ございません!」



私の脚にぶつかったのは小さな女の子だった

何度も謝罪を繰り返す姿を前に慌てて笑って見せれば女の子はニッコリと笑顔を見せてくれた


そして


「……お花を買っていただけますか」


女の子は小さな手に持っていたオレンジ色の花を差し出した


少し泥の付いた頬、薄く色褪せた衣服、解かせば美しいだろう髪の毛

女の子の姿から解るのは先程見た貧しい町の子供なのだという事だった



門と町のギャップ、そして今見える街並みとの激しい違いに私は確信した

この国は貧富の差が激しいのだ


今から私達が踏み入る街は恵まれた富を持つ者だけが過ごせる国

そして女の子が住んでいるのはそんな国に見捨てられ貧しい暮らしを強いられた人々が住んでいる場所なのだろう


現にガラリと変わる街並みの境に降り立った私の視界には国境を表していたコンクリートの壁同様の物が存在し立ち入るなとばかりに鉄柵の門が設けられているのだ




私は決して貧しくは無かったが本来裕福でも無い


しかし彼と生活を共にしているのだから必然的に裕福層になっていて、このまま優雅な街中に彼と入るのだと思えば心臓がぎゅっとした

きっと豪華な食事に豪華なお部屋が待っている

だけど全てが傲慢に感じてしまう程今目の前の現状に胸が締め付けられて苦しかった



不安気に花を差し出す女の子に私は何が出来るだろうか……




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