ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第90章 余韻と事実
確かにプックリとドーム形をしている溶岩は傾斜を滑り形成される物とはかなり見た目が異なっている
彼が教えてくれなければマグマの滝に圧倒されて気付きもしなかった小さな溶岩ドームは其れでも鈍く光っていた
……………じっと見ているとなんだかジェリービーンズみたいにも見えてくる
「………あのドームなんかプニってしてて触ったら気持ち良さそうですよね」
「………触っちゃ駄目だよ。」
何の回路も通さず漏らした言葉に彼は呆れ声をもらした
まさか私がここまで馬鹿だとは思わなかった、とでも言い出しそうな雰囲気だ
流石の私でも触れるだなんて思っていないし触ってしまえば火傷所の騒ぎでは無い事くらい知識にある
………………彼は触れるのだろうか…………
燃え盛る炎にも屈しない鉄の肌を持つ彼……………
私の好奇心はみるみる内に膨らんだ
「イルミさんは触れるんですか?」
隣の彼を真っ直ぐ見上げれば今度は呆れ顔が此方に落とされ
「短時間なら平気だろうけど長時間は流石に無理。」
紡がれた声は至極当たり前の事を発した
しかし私の中で彼は最強であり何物にも負けないイメージしか無く多大なる衝撃を受けてしまった
彼を傷付ける物質がこの世にも存在するのだ
「地上に出た溶岩で大体1000度くらいだから青い炎より温度は低いけど火口から出てない何千度のマグマは無理だろうね。」
「…………ですよね」
無理なのが普通だが何故か不思議な気分なのは彼を崇拝するばかりに不敗の神化していたからかも知れない……………
「でも火にも強いし………私よりはゆっくり溶けるんですかね」
「溶けた事無いから知らない。」
私達はその後も溶岩を眺めながらもしも話に花を咲かせた
「もし………私がちょんって指先だけで触ったらどうなりますかね………そもそも可能でしょうか?!」
「可能は可能だろうね。ただ皮膚と肉が焼け焦げて骨が剥き出しになるんじゃない。」
「………えっ!………こっわ………」
「……………どうでも良いよ。」