ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第90章 余韻と事実
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私はベッドを出ると素早く洗面所へ飛び込み身支度を整え
二人でまったりと朝食を食べた
そして
「えー!凄い!!地球生きてる!」
「……………。」
赤々と燃え盛る溶岩を間近に見ている
馬車が停車したのは広大な銀世界のど真ん中
昨日同様沢山の観光客で賑わう場所だった
降っていた雨はいつの間にか雪へと変わりチラチラと粉雪が舞い岩肌のゴツゴツとした傾斜に降り積もっている
雄大な傾斜にはぽっかり大きな洞窟が開いていて其所からドロドロと赤橙色に光るマグマが流れ出していたのだ
温度差から上がる湯気は最早煙とも取れる程に立ち込めて
降り続く雪が地面に落下して緩やかに流れるマグマを冷やし固めて行く様子を間近に見る事が出来た
安全確保の為に柵は施されていて十分な距離を離しているのだろうが、漂う空気は熱く其れだけ溶岩の熱を肌で感じる
随分な傾斜とばかり思っていた場所だが本来は平らで流れ出るマグマが冷え固まる事で形成された溶岩帯らしい
シューシューと音を上げて動きを止めるマグマに私はある種の感動を覚えていた
キラキラと光り動くマグマは雪の白さでより鮮やかに浮かび上がり互いにコントラストを際立たせていて美しくもあるのだ
私は生まれて初めて溶岩を見たし動いているマグマを見た
間近に感じる自然は大地の脈動を感じる圧巻の迫力で
何故か人類の起源や星の誕生なんていうスケールの事が頭を巡る
私程度の人間では薄ぼんやりした類人猿や地理の滅茶苦茶な地球くらいの事しか浮かばないが兎に角感動している事には違いなく
ゆるゆると動くマグマに感心しきっていると
「溶岩は流動しながら冷却固化するから様々な形態に成るんだよ。」
少し後ろから彼の単調な声が聞こえて はぁー なんて間抜けな呟きが漏れた
「あれ見て。」
彼は私の隣に並び立つと溶岩の一角を指差した
其所には半分固まっているがまだムクムクと動いている赤黒い溶岩の固まりがあった
「溶岩がゆっくり地上に出て来た場合、ほとんど流れず噴出場所に高く盛り上がるんだよ。これを溶岩ドームって言うんだって。」
「へぇー……!ほんまにイルミさんは博識ですね!」
「どんな環境で仕事するか解らないから知ってるだけ。」
「それでも凄いですよ!!」