ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第90章 余韻と事実
「…………イルミさん………正直なお話ししましょう」
「…………。」
「…………引きました………?」
「毎朝してるって言われたら普通に引く。」
「毎朝とか……そんな事してません。ほんまに偶然です」
「別に引かない。………体臭は異性を選ぶ判断材料だし、良い匂いだと感じるなら………」
彼はそこまで言葉を紡ぐと突然その瞳を妖しく細めた
ギシリと音を立てるスプリングに昨夜の記憶が蘇り固まってしまう
彼はそんな私を見据えて余裕を漂わせたまま覆い被さる様に迫ると
「沙夜子も良い匂いだよ……つまり相性が良いって事だね。」
妖艶に呟きを落として悪戯に口角を上げた
サラサラと頬に流れる黒髪が冷たい感覚を教えて自身の頬の熱さを知る
クラリと目眩がして彼の瞳に吸い込まれそうに成る最中、彼は髪をかき上げながら上体を起こし
「さ、早く用意しないと間に合わないよ。」
ほんの数秒前と同一人物なのかと見違う淡白さを漂わせた
目まぐるしく変わる彼の雰囲気について行けず未だ熱い頬をそのままに小さく頷けば彼はすんなりベッドから去って行った
未だドキドキと高鳴る胸を抑えて私は暫く動けず
「到着前にご飯食べたいんだけど。」
私の気も知らずにマイペースな彼の言葉に漸くベッドを出たのだった