ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第89章 彼の波に溺れる
私は得意気にコップに水を注ぐとシャンプーを1プッシュしてストローでかき混ぜた
その様子をじっと眺める彼だが特段面倒そうでは無いのでそのまま続ける事にする
「はい!シャボン玉液は完成です!あとはシャボン玉吹く筒を作ります!」
「シャンプーと水だけ?」
「シャンプーと水だけで十分なんですよ!筒にはストローを使います!」
テーブルに2本のストローを用意して先に3ヵ所切り込みを入れて広げて行けば
彼も見よう見まねで同じ様に筒を自作した
何を考えているのか全く解らない感情に乏しい端正な顔
しかし彼が今行っているのは庶民的な、しかも幼い子供がする程度の工作で
彼の初めての工作はシャボン玉の筒なのでは………なんて考えればニヤニヤしてしまう
「………何。変?」
なんて言いながら完成したストローを見せて来る彼がびっくりする程可愛くて失神しそうに成るが
「完璧な造形です」
取り敢えず彼の初めての工作を誉めていると
目の前でシャボン玉が弾けて驚いた
彼は筒の仕上がりが完璧だと解ると私より先にシャボン玉で遊び始めていたのだ
(ん"ん"ん"ん"んんんんんんんんんんんんんん~ッ可愛いッ!!!!)
液にストローを浸けてふぅっと息を吹く時にシャボン玉を見詰めて僅かに伏せられる睫毛が長く影を落とす
頬杖を付きながら悠長な仕草を見せる彼はミステリアスで冷たさすら感じる無表情すらも息を飲む程美しいのに
彼が今しているのは手作りのシャボン玉
その不釣り合いな光景は破壊力抜群で胸キュンの激しさに死にそうに成る
彼は私が命の危機に瀕している事等素知らぬ顔で
「沙夜子は遊ばないの?」
私の顔目掛けてシャボン玉を飛ばし続けた
「………ちょっ………やめて………目に染みます………」
「目に入れたら5点なんだから瞬きしないで。」
「何それ知らんっ!怖い……!やめて!!」