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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第89章 彼の波に溺れる




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昼食は湖の見える位置に移動して停車した馬車内で取り

再び走り出した馬車には先程迄の快晴が嘘だったみたいな激しい雨がぶつかる音が響く


窓からは昨日同様の深い森の景色が流れている

雨が降れば其の雰囲気は益々不気味ながら昨晩彼に驚かされ続けた事ですっかり順応していた


私は案外神経が図太いのかもしれない

昨日あんなに怯えた山の風景に今は退屈さすら感じ始めている



「ねぇイルミさん!」


「なに」


「何かしましょう!」


「何かって何。」


しかしこの空間には彼が存在している

一人きりなら退屈で仕方がない場所だがテレビも何も無い空間に彼がいるなら二人で遊ぶのにうってつけだ

何も無いが故に何の邪魔もされず彼を独占出来ると考えれば胸が弾んだ



「シャボン玉作りましょう!」


「シャボン玉液なんて無いよ」


「解ってます!作るんです!」


「………無理でしょ。」


「ふふふ……出来ちゃうんですよ!来て下さい!」


「……………。」



コップを片手に手招きすれば彼は無表情を崩さぬまま傍迄やって来た

シャボン玉を知っていても遊んだ事は無さそうな彼

例え幼い彼が遊んだ事があってもまさか庶民の様に自作して遊んだ事は無いだろう



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