第18章 嫌気がさす1年5ヶ月

無駄に広い和室に女と二人


「あの………お酌でも……」


わざとらしく胸元をはだけさせて腕に絡み付く女に隠す事無く舌打ちをする


「お酒はあまり好きではありませんか………？」


「………止めなよ。俺結婚する気なんて無いし」


「っ……………！！」


女の動きが止まった




以前彼女は自身の人柄を知れた事が嬉しいと満面の笑みを浮かべた

その時は変な事を言うな……と思っていた


………今は…………






「私を抱いてください」



再び絡み付いた女を睨めば女は短い悲鳴を上げた後にポロポロと泣き始めた


「私………暗殺の才能が無く……このような事でしか家の役には立てないんです………どうか…………」


床に頭を擦り付ける姿に溜息が漏れる


まるで昔の自分を見ている様だ



長男として生まれ一度はゾルディックの未来を担った

ミルキが生まれても同じく自身は次期当主として指導を受けた

自身への教育は次男へのものとは違っていて

生まれて直ぐに教育係に育てられ

自身の傍にはいない母親が次男の隣には何時もいた

別に其れでも良かった

父親がお前はゾルディックの名にふさわしいと頭を撫でる其だけの為に血反吐を吐いた

一人で独房に入れられて来る日も来る日も努力を重ね何度も死ぬかもしれないと思った