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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第18章 嫌気がさす1年5ヶ月







元の世界に戻って1年5ヶ月が過ぎた


直ぐに終わる仕事は嫌だと言った俺に父親は出張を寄越した


パドキア共和国を抜けて遥々来たのはジャポン

俺が彼女と過ごした異世界と似た街並みに胸は騒いで暫く街並みを眺めてしまった

狭い国土に沢山のビル

交差点を行き交うスーツ姿の人々


此処ならば彼女がいるかもしれないなんて何度消しても浮かぶ思考に溜息を漏らす



彼女と過ごした日々が頭を巡る中


依頼を思い出して眉をひそめる


今回の依頼は両親どちらかの差し金なのは明らかで
出張という一点だけで依頼を受けた自身の軽率さに頭を抱えたい気分だ


【ジャポンの暗殺家系の娘を悦ばせよ】


なんて依頼内容を到着してから寄越す辺り絶対的な悪意を感じる


見合いを断り続ける息子に強行しようという訳だ


依頼金は前払いで口座の中


指定住所の温泉旅館へ行けば接待用の笑顔を張り付けた使用人達に迎え入れられて馬鹿馬鹿しさに反吐が出そうに成った


見る限りどうやら貸し切りらしく人の気配はボディーガード三人と使用人の三人のみ


両家きってのお膳立て


長い木目の廊下に立派な中庭


秋に訪れた有馬の旅館を思い出す


彼女が此所を見たならばまた緊張して表情を強張らせるのだろう


通された一番奥の部屋で開いた襖


其処には和服に身を包んだ女が一人で待っていた


「わざわざご足労感謝致します」


妖艶に笑った女を無視して庭を隔てる襖を開く


「イルミ様……どうされました?」


部屋中に蔓延していた媚薬の香りが不愉快だった

勿論そんな物は自身に何の影響も及ぼさないが依頼内容が依頼内容だけにその気に成られてしまうと鬱陶しい



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