ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第88章 魔王の森
あんな物にいちいち驚いていてよく今迄生きていたものだと思う
その内心臓発作で死ぬんじゃないだろうか
彼女は安堵した様に身体の力を抜いた後再び窓の外を凝視した
「馬鹿なの?」
「…………え?」
「怖いなら見なきゃ良いじゃん。」
彼女が馬鹿な事は今更だが
何故頻りに窓の外を凝視するのか理解出来ない
「怖いから見ちゃうんですよ。見えへん方が何かあるんちゃうかなって怖くなるから………」
「……………ふーん。」
やはり全くの意味不明だったが納得した振りをしていると
ベッドから程近い扉がガタガタと音を経てて彼女は瞬間的に跳び跳ねスプリングが反発して自身迄揺れる
「………何………?!」
周囲には昼間確認した人数と馬しか存在しない
其れに先程彼女が反応していた蔦が大きく揺れている
「ただの風だよ。」
「…………風か……………」
風に迄怯え始めた彼女がにわかに心配に成ってきた
軟弱で脆いとは思っていたがこんなにデリケートな生き物が生存して行くには世の中刺激が強過ぎる
彼女は今迄どうやって生きて来たのだろうとすら思う
シャワーの音やドライヤーの音も危険なのでは無いだろうか
クラクションなんて鳴らされた日には他界しかねない