ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第88章 魔王の森
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特段する事も無く彼女とひとつのベッドに入った
馬車内にハムスターの回し車の音が聞こえる
あの音は彼女の部屋を思い出させる音で自身は至って平常なのだが
「……………イルミさん起きてますか?」
「起きてるよ」
風呂場での出来事で一瞬気が逸れていた彼女だが再び恐怖心が沸いているらしい
ベッドは入り口扉から入って直ぐの場所に設置されており空間を隔てる様にカーテンが付いていた
彼女が何に恐怖しているのかさっぱり解らない
カーテン越しに照らすガス灯の光りでぼんやり浮かぶ影か
其れともベッドの壁際、はたまた足元に見える窓の存在か……
(全部なのかな)
夕飯時に突然歌い出した彼女の口振りから山自体を怖がっている事は把握している
そこから考えるに窓からの光景とそして其の雰囲気に恐れを抱いている事も把握した
彼女が元々怖がりなのは以前から知っていたがここまでだとは………
取り敢えず壁側を彼女に譲り通路側に寝そべったものの
自分自身に怖い物が何も存在しない事に今更気付き彼女の気をどう逸らせば良いのか全く解らなく成っていた
チラリと盗み見る
足元の小窓へじっと視線を向ける彼女は睡魔とは程遠い目をしていた
(怖いなら見なければ良いのに………)