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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第17章 スノードームを見る1年3ヶ月






まだ夕暮れ時の時間に仕事が済んでしまった事に溜息を付く

もう一件詰めたい所だが

家族間で仕事を回す為に10件以上の仕事をする事はタブーとされているのが暗黙だ

9件こなしてしまって後は帰るだけ


街を歩けば大勢の人間で溢れているのに彼女の姿は何処にも無い事に絶望した




_________"



帰宅して何時もの通り毒入りの夕飯を食べてシャワーを浴びた


何も無い


彼女への気持ちを持て余すだけの時間


眠ってしまおうと灯りを消してベッドに体重を預けるが全く湧かない睡魔


カチカチと耳障りな秒針に時計を見遣る

この時間は彼女のお迎えの時間だ


街灯の下に立つ自身を瞳に映し
真っ直ぐ自身に向かって歩みを進める彼女は世界中で自分だけを見ているのだと錯覚させた

彼女は今何をしているのだろう………


心臓が痛い





ベッドサイドに手を伸ばして沖縄で購入したスノードームを振った

自身の部屋唯一の雑貨がこんなヘンテコな物だなんて哀れだ


窓から射す月明かりに反射して小さな南の島に雪が降る




彼女はスノードームみたいだと思う





何も知らない自身の小さな世界に雪を降らせる様に色々な感情を与えた


まるで南の島に雪を降らせる様に不思議で心地好い時間を与えて尚

まだ自身の心に雪を降らせるのだ




「………寂しいって感情なんて要らなかったよ………沙夜子」







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