ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第87章 馬車で行く
「楽しみにしてたでしょ、馬車。」
「は、はい………」
見目麗しい彼に魅了されてすっかり忘れていた
私は馬車を楽しみにしていたのだった
未だ騒がしい胸を抱えながらも足取り軽く向かった先予想を遥かに上回る光景が待っていた
「デカっ!!!!!!」
思わず品の欠片もない台詞が飛び出した私の目の前には彼の身長も悠に越えた超巨大な馬が立っていたのだ
黒光りした毛並みの美しさは置いておき、私はその風貌に恐怖すら感じている
「…………こんなん黒王やん………」
「ギガントアヴォイドホースだよ。」
なんて単調に説明する彼の言葉が耳に入らない
私の脳内には北○の拳の愛をとりもどせが流れだし
ラオウの愛馬である黒王号の姿が浮かんでいた
しかし黒王号の方がまだ可愛いと思える程目の前の馬は不気味だった
その額にはドラ○ンボールの天津○さんを思わせる第三の目が存在し耳の下から前方に向かって立派な角が生えているのだ
そのシルエットは馬に違い無いが私の知っている可愛い馬の想像は出会って数秒としない内に粉々にされてしまった
そんな強烈な見た目の馬が四頭も揃えば圧巻でたじろいでしまう
「この馬じゃないと山を越えられないからね。」
「………そ、そうなんですか……?」
確かに岩でも何でも砕いて進みそうな馬だが……なんて考えていると
「この山は魔の入り口……なんて言われててさ、人が越えるのは不可能なんだ。この馬は道を切り開く馬でね、どういう原理だか知らないけどこの馬が森に入ると自動的に木が避ける。この現象は他の森では見られない事らしいけど。」
彼の説明が入り私は酷く感心した
木が避ける………とは……よく解らないが
とにかく凄い馬だという事は理解出来た
…………異世界は摩訶不思議である
そして見上げた先の山々は頂上付近を白に染めたアルプスを思わせる雄大な物だった