ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第87章 馬車で行く
11月28日
私達はパドキア共和国西部の街にやって来ていた
気候はジャポンに比べれば少し温暖ながらやはり冬である
コートが無ければ寒くて歩けたものでは無い
そこで彼は私に新しくコートを購入してくれた
「好きな物を選んで。」
なんて相変わらず値札を気にしない彼にお礼を伝えながら嬉々として選んだのは上品なグレーのポンチョ付きコートだった
首元と袖にあしらわれたモコモコのファー、胸元迄あるポンチョには黒いリボンが付いていて可愛らしい雰囲気だ
黒のタイツとブーティで合わせれば気分はまるで中世ヨーロッパ宝石商の娘……再びである
普段シンプルな服装を好む私が何故この様なコートを選んだのか
それは
「明日から数日馬車で移動する。」
というメルヘンなお知らせに多大成る影響を受けたからだった
馬車…………!!!
乙女ならば誰しも一度は憧れた事があるのではないだろうか
おとぎ話やお姫様が出てくる話には度々登場する馬車
私も例に漏れず幼い頃凄く憧れた乗り物であったが実際に乗る機会は無かった
何でも山を越えた先にある小国に行く唯一の手段が馬車らしい
期間は三日程、食事は自炊との事で馬車と言ってもキッチンが付いた大きな物らしいのだが乗れるのなら別に何だって良い
気分は優雅な貴族…………私はその妄想に浸るままに昼食をサンドイッチに決めてルンルン気分でバスケットに詰めた