第86章 ホームシックを吹き飛ばす話

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「…………沙夜子、ちょっと来てくれる？」




彼の声が遠くから聞こえて我に帰る


家族恋しさから思い出に浸りノスタルジックに酔いしれている内にどれだけ経ったのだろうか

窓の外から覗く暗い空に時間が随分と過ぎている事に気が付いた




何だかとても晴れやかな気分だ



(めっちゃ泣いたからスッキリしたなぁ………)




なんて呑気にしていたのも束の間だった



彼がいつの間にか隣に居ない事に今更気付き、自分がどれだけ泣き喚いていたのかが頭を駆け抜けてゾッとした



…………彼に多大な迷惑を掛けてしまった………


何を話したかは覚えていないが、とにかく下らない事ばかりだったのは間違い無い

遠く鏡に映った自身の顔が恐ろしく気持ち悪い事にも背筋が凍る


瞼が腫れ上がり鼻が真っ赤に成った姿は最早不気味ですらある……

こんな顔で意味不明な言動を繰り返していたのだと思うと本気で引いてしまった




………自分自身で現状にドン引きなのだ


彼の目に私がどう映っていたのかを想像して吐きそうに成った


そんな姿を晒してよくもまぁ平気だったな、と我ながら思う今
正常な判断力が戻った証である




先程迄の私は完全にイカれていたと断言出来た



………………ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……！！！！！