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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第86章 ホームシックを吹き飛ばす話



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飛行船に乗り込んでから彼女は随分とおとなしかった

普段騒がしい彼女だが24時間騒がしい訳では無く黙々と何かに勤しんでいたり静かに読書を楽しんでいたりするので別段気に止めていなかったのだが

その内すすり泣く声が聞こえ始めてこれは何かがおかしいと異変に気付いたのはつい数分前の事だ

早速読みかけのページの文字は頭に入らず本を閉じて彼女を見遣れば思いの外大粒の涙を流していて驚いた


……………涙の理由に心当たりが無い



何か自身は彼女を悲しませる、或いは彼女に悔し涙といった類いの涙を流させる様な事をしただろうか

嬉し泣きと言うにはあまりにも覇気が無くその可能性を頭の中で消しながら原因の究明を急いていると



「…………さ……さみ"しぃ………」



彼女は本格的に泣き出し全く脈絡の見当たらない言葉をポツリと吐いた


……………寂しい…………?


自身が隣に存在している今
あまりにも不可解な言葉に謎は深まる


特に冷たく接した意識は無いが無意識の内に彼女に孤独感を与えてしまっていたのだろうか?




……………大体こういった場面でどう接すれば良いのか自身には何の知識も無かった


彼女と出会うまで他人の気持ちを顧みずに生きてきた弊害を今に成って感じる

他人の感情ましてや自身の感情すらも疎かにしていた今までを改め、せめて彼女の気持ちだけは汲み取ろうと努めて来たが
感受性豊かな彼女は自身にとって未だ未知数だ



「………何、どうしたの。」


「………家族うぅ…………」



本格的に泣き始めた彼女に繰り返し言葉を掛ければポツリと漏らされた呟きにやっとの事で大体の見当をつける事が出来た


(ホームシックってやつか………)


意味や雰囲気は何と無く理解していても自身に其の気持ちは解らないが涙の理由が解明出来ただけマシだ


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