ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第86章 ホームシックを吹き飛ばす話
11月21日
私達はジャポンと別れて再び長い空の旅に出ていた
目的地はパドキア
私は遠くなるジャポンの街並みをいつまでも窓から眺めていて
故郷に似た国が小さく成って行く光景にある感情が大きく膨らんでいた
「う"ぅっ…………グスっ…………」
「…………。」
所謂ホームシックである
この世界にやって来た当初は慣れない文字、環境、全てが不安で彼の不在も盛大に心細くひっそりと涙を流す事も多かった
最近めっきりそんな事は無かったのだが日本によく似た国は私の心の根底にあった寂しさを見事にくすぐり家族への恋しさが溢れ出したのだ
家族は毎日毎晩私を心配しているだろう
彼に再会出来る保証も無く危険な異世界へ飛び出した娘は今何をしているのかと
せめて手紙でも現状報告を出来れば………
通信手段の何も無い異世界
逆に家族の誰かに何かがあっても私には何も解らず会いに行く事さえ出来ないのだ
そんな事を考えてしまえば不安と寂しさで嗚咽混じりの涙がボロボロ流れる
彼はそんな私の隣で静かに読書を楽しんでいたのだが突然何の前触れも無く私が大泣きするものだから余程驚いたのだろう
栞も挟まず本を閉じて固まったままじっと様子を観察していた
「イルミ……ざんっ………ぅうっ……」
「…………何、どうしたの。」
無表情を貫いていた彼の眉間にシワが寄る
「…………さ……さみ"しぃ………」
「?」
彼は私の言葉に益々シワを深くした