ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第85章 白い景色と幸せ
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「隠れ家ですね!!!」
「……………。」
私は本日宿泊する旅館のお部屋に大はしゃぎしていた
先程迄のノスタルジックは何処へ消えたのか
私はすっかり楽しい気分に成っていた
別に良いのだ
私は今現在彼と過ごせているのだし、ちょっぴり感傷的に成ってもそれはそれ。
今を楽しむのが何より一番だと思う
住宅街に囲まれた立地から平凡な旅館を想像していた私だが想像とは全く違っていた
旅館の本館も美しく上品だったのだが
私達の宿泊する御部屋は旅館にひとつだけの離れだった
本館の裏庭を行くと竹藪にひっそりと隠れた場所に離れは建っていた
内装は全面フローリング落ち着いた焦げ茶色に統一され和洋が織り混ざったお洒落な空間に成っていた
寒さに配慮された床暖房を完備したリビングルームの壁は一面硝子扉に成っていて小ぢんまりと独占出来る銀白の庭を一望出来る縁側付きと何とも素敵だ
本館から隔離された場所に静かに佇む離れの庭にしんしんと雪が降る
「めっちゃ素敵ですね!」
嬉々として振り返れば彼は防寒具の一切を取り払いきっちりとハンガーに掛けている所だった
「風呂は普通の部屋風呂しか無いけどね。」
「そんなん全然!!」
贅沢の限りを尽くされた部屋に宿泊する事に私は未だ慣れてはいない
私達が今居るこの部屋も細部迄清潔で更に然り気無く鎮座する装飾品も嫌味無く上質でかなり良い御部屋に違いなく
私の身の丈には不似合いだ
そんな素敵なお部屋に宿泊出来る上に温泉迄望むなんて思考は私には無かった
部屋風呂と言っても広々と木の良い香りが漂う素敵な物だし大の字に成っても平気な程の湯船は間違い無く贅沢だ
超一流V.I.P.の彼からしてみれば贅沢だなんて感じないのだろうけど私を感激させるには十分過ぎる程である